4Bモデルだ けでPostgresより81%高速なクエリプランを生成
原題: Training a 4B model to produce 81% faster query plans than Postgres
なぜ重要か
小型オープンウェイトモデルがDB内部の最適化問題を解けると示したことで、商用DBライセンス不要のAI駆動オプティマイザへの道が具体化した。
Rohan Bansalは2026年9月16日、40億パラメータの軽量モデル「Qwen」を教師あり微調整(SFT)とエージェント型強化学習(RL)で後学習させ、PostgreSQLのデフォルトのクエリオプティマイザを上回る結果を得たと発表した。Join Order Benchmark上の113件のクエリで平均44.7%のレイテンシ削減を達成し、一部では最大81%の高速化を記録した。
クエリオプティマイザの性能問題は長年の課題だ。Leiscらは2015年と2025年の両時点でPostgresなど主要DBのオプティマイザを評価し、10年の研究蓄積があってもなお大幅な改善余地が残ると指摘している。特にジョイン順序の決定問題はNP困難であり、テーブル数が増えると組み合わせ爆発が避けられない。
Bansalが採用したアプローチの核心は「検証しやすい報酬」にある。クエリプランの良し悪しは実行時間という単一指標で測れる。このため、強化学習の報酬設計がシンプルになり、言語モデルが得意とする「検証可能な出力を最大化する」学習パターンに落とし込める。
具体的な手順は3段階だ。まずQwen 4Bをベースに、教師モデルが生成した高品質なクエリヒント付きSQL例でSFT実施。次に、1クエリあたり4回のロールアウトを行い、各ロールアウトでモデルがPostgresへのヒント(`/*+ HashJoin(mc cn) */`など)を含むプランを提案。Postgresが実測した実行時間とデフォルトプランの時間を比較し、スカラ報酬を各ロールアウトに割り当てる。このスコアを逆伝播させてモデルの重みを更新するGRPOの独自変形版を設計した。実験環境ではvLLMと学習サーバーを2台に分割し、Linuxのページキャッシュ競合ノイズを抑制する独自の計測リグも構築している。
結果として、当初99件のクエリでプランを生成できなかった4Bモデルが、学習後には113件全体で幾何平均44.7%のレイテンシ削減を達成。単純な推論だけでなく、Low-rank adaptation(LoRA)による効率的な重み更新も活用しており、大規模なGPUクラスタを必要としない点も特徴だ。