欧州上空のGNSS妨害源を宇宙から特定
原題: Tracing a powerful GNSS interference source over Europe
なぜ重要か
宇宙ベースGNSS妨害源の特定により衛星測位システムの脆弱性が明らかになり、航空・海運・通信インフラの安全保障対策強化が急務となる。
研究者らが2019年から欧州・グリーンランド・カナダ上空で発生している強力なGNSS妨害の宇宙ベース発生源を分析し、ロシアの早期警戒衛星群がモルニヤ軌道から妨害電波を発信していることを特定した。地上GNSS基準局ネットワークのデータを基に検出フレームワークを開発し、受信電力と到達時間差測定を組み合わせた識別技術を用いて妨害源を突き止めた。
テキサス大学オースティン校の研究チームが、2019年以降に欧州大陸、グリーンランド、カナダ上空で数十回発生している強力なGNSS(全球測位衛星システム)妨害の宇宙ベース発生源を詳細に分析し、その正体を特定した研究論文を発表した。この妨害源は広範囲にわたる一時的な妨害事象を引き起こしており、宇宙ベースの妨害源としては特に懸念される存在となっている。
研究では2019年から2026年にかけて地上GNSS基準局ネットワークから収集したデータを分析し、受信電力ベースの検出フレームワークを開発した。この手法により、妨害事象の空間的、時間的、スペクトラム的パターンを詳細に把握することが可能となった。
研究チームは受信電力測定と到達時間差測定を組み合わせた識別技術を開発し、これを適用することで妨害源がロシアの早期警戒衛星群であることを高い信頼度で特定した。これらの衛星はモルニヤ軌道と呼ばれる楕円軌道に配置されており、「lightning(稲妻)」の名前で知られている。
世界的なGNSS妨害の増加は主に地上または地上近くの発生源によるものだが、宇宙ベースの妨害源は広大な地理的範囲への影響力と、GNSS妨害の質的エスカレーションの前兆として特別な懸念事項となっている。