EVが電力網を救う?V2G技術の最前線
原題: The Solution to the Power Grid's Woes Might Just Be Sitting in Your Driveway
なぜ重要か
V2G技術の普及は電力インフラ投資を抑制しつつ再エネ普及を加速させる可能性があり、EV・電力・蓄電池産業全体に波及効果が見込まれる。
2026年7月、Eversource・National Grid・EnergyHub・Sunrun・the Mobility Houseの5社連合がマサチューセッツ州でV2G(Vehicle-to-Grid)技術の実証実験を開始した。電気自動車のバッテリーから電力網へ電力を逆送する双方向充電技術により、需要急増時の電力安定供給と電力コスト削減を目指す取り組みで、参加者には補償金が支払われる仕組みとなっている。
電力需要の急増と再生可能エネルギーの不安定さという二重の課題を抱える米国の電力網において、V2G(Vehicle-to-Grid)技術が現実的な解決策として注目されている。
今回マサチューセッツ州で始まった実証実験では、参加者が既存の「ConnectedSolutions」プログラムに接続し、熱波などによる「需要応答」イベント発生時にEVのバッテリーから電力網へ電力を供給する。the Mobility House北米の車両グリッド統合担当バイスプレジデント、Russell Vare氏によると「バッテリーの放電は年間わずか数時間程度で、毎日ではなくピーク時のみ」とのことだ。参加者にはソーラーパネル提供者と同様の補償が支払われる。
背景には複合的な課題がある。データセンターの増加、EVや電動ヒートポンプへの移行による電力需要の拡大、さらに風力・太陽光など間欠性のある再生可能エネルギーへの移行が重なっている。電力会社は余剰電力を貯蔵する手段を必要としており、蓄電施設の建設や送電線の整備などのコストが消費者負担として上昇している。
Sunrunのグリッドサービス担当ディレクター、Chip Silverman氏は「マサチューセッツ州がリードすることで得られる知見が、この技術をスケールアップさせる原動力になる」とコメントしている。V2Gが普及すれば、EV非保有者を含む消費者全体の電気代引き下げにも貢献できると期待されている。双方向充電器の設置は必要となるが、電力会社側がインフラをゼロから構築する必要がなく、コスト抑制につながる点が大きな利点とされる。