大規模サプライチェーン攻撃でテラバイト級の認証情報が流出
原題: Terabytes of credentials leaked in massive supply-chain attack
なぜ重要か
AIツールのサプライチェーンを悪用した攻撃が434,000件超のCI/CDパイプラインを同時に侵害し、AI開発加速がもたらすセキュリティリスクの深刻さを業界全体に示した事例として注目される。
2026年8月12日、セキュリティ企業CloudSEKとHudson Rockは、オープンソースAIツール「LiteLLM」を標的にしたサプライチェーン攻撃により、Microsoft・Amazon・Cisco・Samsung・Salesforceを含む2,500超の組織の認証情報がテラバイト規模で流出したと発表した。攻撃は2026年3月に約40分間実施された。
セキュリティ企業CloudSEKおよびHudson Rockは、AIソフトウェア開発を支援するオープンソースツール「LiteLLM」を標的としたサプライチェーン攻撃の詳細を公開した。攻撃者はPython Package Index(PyPI)上の公式リポジトリに不正なバージョンのLiteLLMを配布し、2026年3月の約40分間に及ぶ攻撃ウィンドウ中に被害組織のメモリ内容をスクレイピングして攻撃者管理下のサーバーへ窃取した。
Hudson Rockが分析した流出ファイルの総量は195TBに上り、クラウドキー・リポジトリトークン・SSHキー・Kubernetesシークレット・パッケージ公開用認証情報・環境変数・AIプロバイダーキーなど多岐にわたる機密情報が含まれていた。両社によると、434,000件のCI/CDソフトウェアパイプラインの認証情報が露出した。
今回の攻撃は、広く使われている脆弱性スキャナー「Trivy」への先行するサプライチェーン攻撃を起点としており、「KICS」やTelnyx Python SDKも同じキャンペーンで感染していたことが判明している。
攻撃の首謀者として、主に10代の若者で構成されるハッキンググループ「TeamPCP」が犯行声明を出しており、研究者らもその主張を概ね裏付けている。独立系セキュリティ研究者のKevin Beaumont氏は「データの正当性を複数の被害組織で確認した。AI開発を急ぐあまりセキュリティを軽視した組織のDevOpsの脆弱性を突いた、大規模なサプライチェーン侵害だ」とコメントした。
流出データには、Salesforceのクライアントシークレット、SlackのSigning Secret、Microsoft Azure環境のトークンなど、世界有数の大企業の内部機密が含まれていた。SiriusXMのドメインメールアドレスが含まれていた件については、衛星放送会社本体ではなく子会社のAdsWizz社のインフラへの侵害であることが後に確認された。