SK Hynix、米工場建設と引き換えに中国への装置輸出承認を交渉
原題: SK Hynix bargains for chip equipment exports to its China facility in return for building a factory in US
なぜ重要か
対中輸出規制と米国内製造推進の板挟みの中で、大手半導体メーカーが装置輸出と工場建設を取引材料にする構図は今後の業界標準になりうる。
SK Hynixのフラッシュメモリ部門Solidigmが、中国・大連工場への米国製半導体製造装置の輸出承認を米政府に申請していることが判明した。条件として米国内(ニューヨーク州北部が候補地)へのNAND型フラッシュメモリ工場建設を提示しているとReuters が匿名情報源を引用して報じた。SK Hynixは設備導入が米政府の承認のもとで進んでいると説明している。
SK HynixのNAND部門Solidigmが、大連のSK Hynix工場内の空きスペースに追加製造装置を導入してNANDチップ生産を増強したい考えで、その実現のために米政府への輸出ライセンス申請を行っていることがReuters の報道で明らかになった。
SK Hynixは取材に対し、2023年に完成した大連のMod B施設について「キャパシティ拡張を求めているわけではない」と否定しつつも、装置の導入自体は「米政府との協議のうえで承認を得て実施している」と認めた。
背景にあるのは米国の対中輸出規制の変遷だ。2022年10月に安全保障を理由に先端チップおよび製造装置の対中輸出規制が発動され、2023年にさらに強化された。2025年9月にはトランプ政権がSK Hynix・Samsung・Intelの中国工場向け特別免除を撤廃した。その後、両社には年間ライセンスが付与されている。
一方、米政府は外国チップメーカーに対して米国内への工場建設・拡張を強く求めており、Commerce長官のHoward Lutnickは2026年7月にSamsungとSK Hynixへの工場建設要請を公言している。
Solidigmは2027年の米国IPOを準備中とされ、調達額は約100億ドル、企業評価額は最大1,000億ドルに達する可能性があると報じられている。
NANDフラッシュは、SSDを介してノートPCやスマートフォン、AIデータセンターまで幅広く使われる。TrendForceは2026年第4四半期のNAND価格が15〜20%上昇すると予測しており、AIデータセンター需要の急増が供給逼迫を加速している。