AIが400年分の史料を解析し隕石・サイを発見

原題: Pointing AI at archives found a forgotten meteorite, lost rhinos, and more

なぜ重要か

大規模史料のAI解析が歴史学の専門家以外にも開かれ、研究のあり方を変えつつあることを示す具体例として注目される。

ソフトウェアエンジニアのJesse Waitesは2026年10月、AIエージェントを使ってオランダ東インド会社の435万ページの史料や各国の古新聞を一夜で解析。記録から抹消されていた隕石落下報告、3頭の失われたサイ、未記録の火山噴火を発見したと自身のブログで報告した。

きっかけは2026年10月1日、歴史家Benjamin Breenが発表した記事だった。Breenは同じオランダ東インド会社のデジタル史料をAIで検索し、1615年の船長日誌に絶滅鳥ドードーの新たな目撃記録を見つけた。Waitesはこれを読んで「自分にもできる」と確信し、独自の調査に乗り出した。

Waitesが構築したのは、複数のAIモデルを連携させたパイプラインだ。素材はGLOBALISEプロジェクトが公開するオランダ東インド会社の文書(1600〜1790年代、435万ページ分の転写テキスト)、オランダ国立図書館のデジタル新聞、2世紀分のアメリカ新聞、船のログブックなど。1ページ2分、週5日8時間かけて読めば約70年かかる量を、自宅のAIラボが12時間の夜間実行で処理しきった。

調査対象はAIの「ディープリサーチ」機能に「オンライン上の既存データで解決できる可能性が高い歴史的未解明問題」を列挙させ、13テーマに絞った。選定基準はデータの完備性・AIの支援効果・先行研究の有無、そして最も重視したのが「主張の根拠を原文書のスキャンと書庫参照番号で検証できること」だ。AIは自信を持って誤った情報を提示することがあるため、最終的にはすべて実物の手書き文書や印刷紙面に行き着けなければならないとWaitesは強調する。

その結果、見つかったのは3件の主要な発見だ。まず忘れられた隕石落下報告。次に3頭の失われたサイ——17世紀のオランダ語ではサイの綴りが十数通りに変化するため、通常の全文検索では見落とされていたものをAIが拾い上げた。そして未記録の火山噴火。1808年の大規模噴火は震源地が今も特定されていないが、古記録の中にその痕跡を示す記述が含まれていたという。

ツールにはAnthropicのAIコーディングツール「Claude Code」を活用し、研究パイプライン自体をAIと共同設計した。Waitesは「歴史家ではなくエンジニアだが、たとえ小さくても知識の積み上げに貢献できることに意義がある」と述べている。発見内容はいずれも原典の書庫参照番号と合わせて公開され、第三者による検証が可能な形になっている。

出典

jessewaites.com — 元記事を読む →