PC出荷台数が20%超急落、2023年Q1以来最大の下落
原題: PC shipments fall 20.1 percent in “sharpest decline” since Q1 2023
なぜ重要か
AI向けメモリ需要がコンシューマー機器市場を構造的に圧迫している実態が数字で明確になった。
調査会社IDCおよびOmdiaは2026年10月、2026年Q3のPC出荷台数が前年同期比で急落したと発表した。IDCによると出荷台数は6,270万台で前年同期比20.1%減。Omdiaは21.2%減の5,810万台と集計し、両社とも2023年Q1以来最大の落ち込みと指摘した。メモリ価格高騰への事前在庫積み増しとAI向けDRAM需要が主因とされている。
2026年Q3のPC市場は急速に冷え込んだ。IDCの集計では出荷台数が6,270万台となり、前年同期の7,850万台から20.1%減少。さらに前四半期(Q2)の6,820万台との比較でも9.1%の減少で、通常Q3がQ2を上回るという季節パターンからも外れた。IDCのリサーチディレクター、Jitesh Ubrani氏は「Q3としては同社が記録した中で最大の落ち込み」と述べた。
Omdiaも同様の傾向を確認しており、グローバルのラップトップ・デスクトップ・ワークステーション合計が5,810万台(前年同期比21.2%減)と報告した。内訳はデスクトップが23.5%減の1,170万台、ラップトップが20.6%減の4,640万台だった。
主な背景として、IDCはPC各社が年初にメモリ価格の上昇を見越して大量に在庫を積み増したことで、Q3には実需がほぼ残っていなかった点を指摘する。「流通チャネルは価格高騰が需要を抑制している市場で在庫を抱えすぎることを懸念している」とUbrani氏は語る。価格は前年比で依然高水準が続く見通しで、IDCは「下落があるとすれば小幅かつ短期的なもの」と予測している。
Omdiaのリサーチディレクター、Ishan Dutt氏は「上流の部品コスト上昇がエンドマーケット価格に完全に転嫁され、消費者と企業IT担当者がそれに反応した結果だ」とコメント。加えて、2025年以降にAIワークロード向けのHBMおよびサーバーDRAM需要が急増し、コンシューマーPC・スマートフォン・ゲーム機向けの製造キャパシティが圧迫されていることも需給の構造的な問題として挙げた。Ubrani氏は「マクロ環境が悪化する中、今後数四半期の見通しは好転前にさらに悪化するリスクがある」と警告しており、今回の落ち込みが下降サイクルの始まりにすぎない可能性を示唆している。