GPT-6 AstraがEnigma暗号を単独解読
原題: OpenAI GPT–6 Astra breaks Enigma message that has resisted solution since 2005
なぜ重要か
AIが人間の詳細介入なく史料の選定・ソフトウェア開発・暗号解析を完遂した事例として、自律型AIエージェントの実用水準を示す重要な実証となる。
2026年9月15日、Carter Lefferがドイツ軍Enigma暗号文「MVUEH」(1941年7月10日付)の解読成功を暗号研究者に報告した。同メッセージは2005年の公開以来20年以上未解読だった。OpenAIのGPT-6 Astraが人間の詳細な指示なしに自律でEnigmaシミュレーターとBombeをコーディングし、地名「ROSENOW ROSENOW」をクリブに使用して正しい鍵と平文を特定した。
1941年7月10日にSS-Totenkopf師団のQuartiermeister(兵站参謀)宛てに送信されたEnigma暗号文「MVUEH」(82文字)は、2005年にCrypto Cellar Researchウェブサイトで公開されて以来、暗号解読者の挑戦を退け続けてきた。
同日の別の未解読メッセージ「SIPVX」(94文字)は2017年6月にAlex Shovkoplyas氏が解読していたが、MVUEHはその鍵でも解けなかった。今回の解析で、MVUEHの鍵は同日他のメッセージとは大幅に異なり、ローター順序が512ではなく253であることが判明した。また、解読過程でEnigmaの左端ローターが72文字目で繰り上がり(ターンオーバー)を起こしていることも明らかになった。左端ローターのターンオーバーは稀で、解読を著しく困難にする要因の一つとされる。さらに、オリジナルの暗号文転写に複数の誤りが含まれていたことも今回初めて確認された。
Carter Lefferは、未解読Enigmaメッセージへの挑戦をGPT-6 Astraに指示しただけで、具体的な手法は指定しなかった。AIはウェブサイト掲載の未解読メッセージ一覧を分析し、MVUEHを最も解読有望と判断。さらに隣接するSIPVXの平文との関連性を独自に推定した。その後、繰り返し登場する地名「ROSENOW ROSENOW」をクリブとして選択し、EnigmaシミュレーターとBombeの実装に必要なPythonおよびC++コードを自ら開発。徹底的な探索の末に正しい鍵と平文の取得に成功した。
MVUEHとSIPVXの平文はほぼ同一内容だが、MVUEHでは「Bitte」の誤記が「Btte」となっていること、SIPVXでは送信者署名「Waschbusch」が重複していることが12文字の長さの差をもたらしている。GPT-6 Astraがドイツ連邦公文書館(Bundesarchiv)の新発見メッセージコレクションに関する注記も参照した可能性があるとされ、研究チームは現在AIの解読ログを詳細に分析中だ。