テレンス・タオ、AIエージェントで旧来アプレットを復活

原題: Old and new apps, via modern coding agents by Terry Tao

なぜ重要か

著名数学者によるAIコーディングエージェントの実用事例として、研究・教育分野における活用可能性と限界を具体的な数字で示した点が注目される。

数学者テレンス・タオ氏は2026年7月11日、AIコーディングエージェントを用いて1999年にJava 1.0で作成した約24本の数学可視化アプレットをJavaScriptへ移植し、全て動作可能な状態に復元したと自身のブログで発表した。移植作業は数時間で完了し、新規アプリ2本(特殊相対性理論可視化ツールおよびGilbreath予想可視化ツール)も新たに開発した。

タオ氏は1999年当時、複素解析・線形代数の授業用や数学オブジェクト(ハニカムやBesicovitch集合など)の可視化を目的としてJava 1.0製アプレットを複数作成していた。しかしその後、ウェブ標準がそのバージョンのJavaをサポートしなくなったため、これらのアプレットはすべて機能しなくなっていた。

今回タオ氏は、自身のウェブページおよびブログデータをより保守しやすいリポジトリへ移行する作業の一環として、AIエージェントに旧アプレットのJavaScriptへの移植を依頼した。約24本のアプレットの移植はわずか数時間で完了し、Besicovitch集合アプレットのカラー化など視覚的な改善も加えられた。Allen Knutson氏と共同で作成したハニカムアプレットも復活し、タオ氏は特に喜びを示している。

LLMベースのコーディングエージェントはバグを生成しやすいとされているが、今回の移植では軽微なバグが1件確認されたのみであり、一方でエージェントが既存コード中の未知のバグを2件発見したため、コード品質面では実質的に互角の結果となったとタオ氏は述べている。

旧アプレットの移植に留まらず、タオ氏は新規アプリの開発にも着手した。1999年から構想していた特殊相対性理論の可視化ツール(「Minkowski空間版Inkscape」を目指したもの)は、当時コードの複雑さから断念していたが、今回AIエージェントとの「バイブコーディング」により数時間で完成した。さらに、同日公開したGilbreath予想に関する論文に合わせ、その可視化ツールも数時間で追加開発した。タオ氏はこうした対話型可視化ツールを将来の論文の補足資料として継続的に活用する意向を示している。

出典

terrytao.wordpress.com — 元記事を読む →