香港大学が海水から水素製造可能な新ステンレス鋼開発

原題: New stainless steel can survive conditions for hydrogen production in seawater

なぜ重要か

海水からの水素製造コスト大幅削減により、グリーン水素の商業化促進と脱炭素社会実現に寄与する可能性

香港大学の研究チームが、海水電解による水素製造の過酷な環境に耐える新しいステンレス鋼「SS-H2」を開発した。従来のステンレス鋼では不可能だった高い耐食性を実現し、現在使用される高価なチタン部品の代替となる可能性がある。10メガワットのPEM電解システムでは構造材料コストを40分の1に削減できると推定される。

香港大学機械工学部のMingxin Huang教授率いる研究チームが、海水からのグリーン水素製造用の特殊ステンレス鋼「SS-H2」を開発した。この材料は従来のステンレス鋼の限界を超えた条件下でも耐食性を維持する。研究成果は「Materials Today」誌に掲載された。グリーン水素は再生可能エネルギーによる電気で水を分解して製造されるが、豊富な海水を原料とする場合、塩分や塩化物イオンが電解装置部品の腐食を引き起こすという課題があった。現在の工業用水素製造では、脱塩海水や酸性溶液用にチタン系構造材料が使用されているが、金やプラチナなど貴金属コーティングが必要で極めて高価である。HKUチームの試算によると、10メガワットPEM電解システムの総コストは約1780万香港ドルで、構造部品が53%を占める。SS-H2への置換により構造材料コストを約40分の1に削減可能という。従来のステンレス鋼は、クロムの酸化によって形成される薄い不動態膜で自己防護するが、高電位下ではCr2O3が可溶性Cr(VI)種に酸化され、約1000mVで不動態腐食が生じる限界があった。

出典

sciencedaily.com — 元記事を読む →