蚊取り罠をAI監視網に転換するMosqitter
原題: Mosqitter is turning its mosquito traps into an AI-powered surveillance network
なぜ重要か
デング熱が1年で倍増した背景は気候変動と越境移動の加速であり、AI蚊監視網は公衆衛生インフラとしての市場規模が急拡大している。
ペンシルバニア州の30人規模スタートアップMosqitterは、化学薬品不使用の蚊取りデバイス5,000台以上を5大陸で稼働させており、コンピュータービジョンを活用して捕獲した蚊の種類を特定・追跡するAI監視ネットワークへの進化を目指している。WHO によると、デング熱の報告件数は2023年の650万件から2024年には1,460万件と倍増以上に急増している。
Mosqitterは2019年にウクライナでR&Dを開始し、2021年に事業を本格始動したスタートアップだ。同社の蚊取りデバイスは、人間の体温・皮膚の臭い・呼吸を模倣することで産卵前の雌の蚊を誘引・捕獲する仕組みを採用。化学薬品に頼る従来の駆除市場に対し、より持続可能な選択肢を提供することを当初から掲げていた。
共同創業者でCEOのAnastasiia Romanovaは、「産卵直前の雌の蚊を捉えれば、個体数の増加を抑制できる」と語る。最上位機種「Grand」では熱・匂い・光に加えてCO2も使用し、人間の呼吸をより精密に再現する。同社のデバイス稼働台数は2022年時点の250台超から5,000台以上へと大幅に拡大した。
AI活用の面では、捕獲した蚊の画像をニューラルネットワークで解析し、外部データセットと照合した上で昆虫学者が検証するという三段階の確認プロセスを経て種の同定を行う。Romanovaはこれを「3人の審判が事案を分析して評決を下すようなもの」と表現する。各判定には信頼スコアが付与される。さらに気象・風速・湿度といった環境データも統合することで、蚊の個体数変動の追跡と感染症リスクの早期警告を実現しようとしている。
同社は今週サンフランフランシスコで開催中のTechCrunch Startup Battlefieldに出場しており、5大陸規模のネットワークデータを武器に感染症サーベイランス分野への本格参入を狙う。