Leanで形式検証入門:チュートリアル第1部
原題: Introduction to Formal Verification with Lean Part 1
なぜ重要か
形式検証と暗号実装の橋渡し教材の整備は、ゼロ知識証明などの安全性検証ニーズが高まる中で業界教育基盤の強化に寄与する。
セキュリティ企業HashCloakは2026年7月15日、暗号エンジニア向けの形式検証チュートリアル第1部を公開した。定理証明支援系Lean 4を使い、One-Time Pad(OTP)プロトコルの形式的な証明を実装する内容で、Dan Boneh・Victor Shoupの教科書を主な参照元としている。形式検証ツールの基礎を暗号技術の観点から丁寧に解説する。
HashCloakの暗号エンジニアElenaが執筆したこのチュートリアルは、形式検証ツールLean 4を初めて使う暗号エンジニアを対象としている。形式検証とは、数学的命題の正しさをコードとして記述し、機械的にチェックする手法であり、Lean以外にもRocq(旧Coq)やIsabelleといったツールが存在する。
Leanは2013年にMicrosoft ResearchのLeonardo de Mouraによって開発された関数型プログラミング言語兼定理証明支援系で、純粋関数型言語として設計されており副作用を持たない。数学者や研究者が公理・補題・定理を記述して証明を付加し、コンパイルが通れば証明が正しいと確認できる。部分証明への分割や共同作業が容易な点、Leanが欠けた証明の断片を自動探索できる点なども利点として挙げられている。
チュートリアルの目標は、Claude Shannonが広めFrank MillerおよびGilbert Vernamが先に記述したOTPプロトコルについて、形式的な定義と証明をLean 4に移植することだ。参照元としてDan Boneh・Victor Shoupの著書「A Graduate Course in Applied Cryptography」を使用し、最終的にはVCV-ioが公開する高度な暗号Lean証明を読み解けるレベルを目指す。
チュートリアルは「Hello World!」の後に4部構成で進み、今回は第1部として基礎的な概念を紹介。学習リソースとして「The Hitchhiker's Guide to Logical Verification」「Functional Programming in Lean」「Theorem Proving in Lean 4」「Natural Numbers Game」なども紹介されている。HashCloakは、既存リソースが数多くある中でも暗号技術との明確な接点を持つ入門教材が不足しているとし、本チュートリアルを作成した背景を説明している。