天然ガス価格3倍リスク、大手AI企業に試練か

原題: Hyperscalers might regret embracing natural gas if new forecast proves correct

なぜ重要か

AIインフラのエネルギーコスト構造が根底から変わる可能性があり、サービス価格や電力市場全体への影響が注目される。

エネルギー調査会社Norevaは、Amazon・Google・Meta・Microsoftなどのハイパースケーラーが天然ガス電力への大規模投資を進める中、米国内の天然ガス価格が今後数年で現在の2〜4.5ドル/百万BTUから10ドル超へ最大3倍に高騰する可能性があると予測。需要増・供給成長鈍化・LNG輸出拡大の三重苦が原因と指摘している。

エネルギー調査会社Norevaは新たなリポートで、米国の天然ガス価格が一部の取引拠点において今後数年で3倍以上に上昇する可能性があると予測した。現在、天然ガス価格はルイジアナ州の主要取引拠点Henry Hubで1百万BTU当たり約3ドル前後で推移しているが、Norevaは一部ハブで10ドルを超えると見ている。

背景には、主要ハイパースケーラーによる大規模な天然ガス発電所への投資がある。Metaは2026年3月、ルイジアナ州に7.5ギガワット規模の天然ガス発電所を建設しHyperionデータセンターに電力を供給すると発表。その数日後にはMicrosoftとGoogleがそれぞれテキサス州でギガワット規模の天然ガス発電所建設計画を公表した。Amazonもテキサス州に7.6ギガワットの天然ガス発電所を建設する計画を持つ。

NorevaのCEOであるPeter Gardett氏はTechCrunchに対し、「ガス市場の関係者は価格が上がらないという感覚に慣れてしまっている」と述べ、単純な計算だけで数年前より大幅に逼迫した市場になることが見えると警告した。また、ある投資家がハイパースケーラーの天然ガス価格リスクの大きさに「驚いていた」とも明かした。

価格高騰の主な要因は三つある。第一に、AIデータセンター需要による国内ガス消費の急増。第二に、老朽井の生産減少を補う新規供給の成長ペイが以前より鈍化していること。第三に、液化天然ガス(LNG)輸出の拡大により国内市場が国際市場と接続され始めたことだ。

大型発電所では燃料費が電力コストの約半分を占めるため、天然ガス価格が2〜3倍になれば「自前電力」方式のAIデータセンターの運営コストは大幅に上昇する。その結果、AIサービスのトークン単価が上がるか、あるいはハイパースケーラーが電力グリッドへの接続に回帰し、電力料金全体を押し上げる可能性がある。現時点で先物市場は大きな価格変動を織り込んでいないが、Gardett氏は「それが誤りでないとは言えない」と述べ、慎重な見方を示している。

出典

techcrunch.com — 元記事を読む →