GoogleがNvidiaの牙城に挑むTorchTPUを公開
原題: Google has joined Amazon in attacking Nvidia’s stronghold with AI app developers
なぜ重要か
AmazonとGoogleがNvidiaのPyTorch依存構造を崩そうと協調的に動いており、AIチップ市場の競争構図が変わる可能性がある。
Googleは2026年10月20日、PyTorchの独自実装「TorchTPU」をオープンソースとして公開した。AI開発者の85%が利用するとされるPyTorchをGoogle独自のAIチップTPU向けに対応させたもので、既存アプリをコードの書き直しなしに設定変更のみでGoogle Cloudへ移行できる。前日にはAmazonも同様の「TorchNeuron」を発表しており、両社がNvidiaへの対抗姿勢を鮮明にした。
PyTorchはMeta(旧Facebook)が2016年に開発し、2022年にLinux Foundationへ移管されたオープンソースのAI開発ツールキットだ。AI開発者の約85%が利用しているとされるが、もともとNvidiaのGPUを前提に設計されており、多くの機能がNvidiaのチップに最適化されている。これがNvidiaのシェア維持を支える構造的な要因となってきた。
Googleが公開したTorchTPUは、既存のPyTorchアプリをGoogleのTPU上で動作させることを目的とした実装だ。開発者はアプリを書き直す必要がなく、設定変更だけでTPUとGoogle Cloudへの移行が可能になる。さらにGoogleはMeta、Hugging Face、vLLMを開発するInferact、SGLangを開発するRadixArkと連携し、TorchTPUが主要なAI開発ツールと互換性を持つよう調整したと説明している。
加えてGoogleは、移行作業を支援する専用ツール「TPU agent suite」を立ち上げ、エラーの修正まで対応できるとしている。スマートフォンやノートPCなどエッジデバイス向けのAI実行ツール「LiteRT」もPyTorchアプリへの対応を強化した。
一方、Amazonは前日10月19日に「TorchNeuron」を発表している。独自チップTrainiumへの移行をコード変更なしで実現するほか、PyTorchの主プロジェクトに対してNvidiaとの依存関係を分離するコードを提出し、あらゆるハードウェアでデフォルト動作できるよう働きかけるとも述べた。
ただし両社の取り組みがあったとしても、AI開発者がNvidiaのハードウェアを一斉に乗り換えることを意味するわけではない。エコシステムの惰性は大きく、実際の移行がどの程度進むかは今後の動向次第だ。