「Going Dark」時代と法執行機関のハッキング
原題: Going Dark, and the era of law enforcement hacking
なぜ重要か
暗号化技術の普及と法執行機関の対応は、プライバシー政策・セキュリティ製品設計の両面で業界全体に直接影響を与える重要な論点となっている。
Johns Hopkins大学の暗号学者Matthew Green教授は2026年8月14日、暗号化による「Going Dark」問題と法執行機関によるハッキングの新時代について論考を公開した。Usenix Security参加後に執筆された約1,370語の記事で、エンドツーエンド暗号化の普及が捜査当局の監視能力に与える影響を分析している。
Johns Hopkins大学教授で暗号学者のMatthew Greenは、2026年8月14日付の自身のブログ「A Few Thoughts on Cryptographic Engineering」において、「Going Dark」問題と法執行機関によるハッキングの時代について論考を発表した。記事の分量は約1,370語。
Greenは、Usenix Security(開催地:Baltimore)参加直後にこの記事を執筆。「Going Dark」とは、エンドツーエンド暗号化の普及により、法執行機関が合法的な令状を持っていても通信内容を傍受・解読できなくなる現象を指す用語として、FBI等の当局が長年使用してきた概念だ。
元記事のヒントに含まれるタイトルは「Everything is about to 'go dark'」であり、暗号化技術の進展が今後さらに加速し、当局の監視能力が一層制限されることを示唆している。Greenはこれまでのブログでも、AIとエンドツーエンド暗号化の関係、プライベート推論のプライバシー問題、iMessageへの「消えるメッセージ」機能追加の提言など、暗号化と個人プライバシーに関わる幅広いテーマを継続的に論じてきた。
今回の論考は、法執行機関が暗号化された端末やアプリに直接アクセスするため、ネットワーク傍受に代わるハッキング(デバイスへの不正侵入)を捜査手法として採用する動向を踏まえたものとみられる。Greenはワイヤレスネットワーク、決済システム、デジタルコンテンツ保護分野の暗号システムの設計・分析を手がけており、ユーザープライバシー促進における暗号技術の活用を研究テーマとしている。