米国法典にGit的バージョン管理を

原題: Git for the US Code

なぜ重要か

法律テキストの時系列管理は、AIを使った法律調査の信頼性に直結する基盤インフラ問題であり、リーガルテック全体の課題だ。

リーガルテックスタートアップLexifinaは2026年10月28日、米国法典(US Code)の改正履歴を、プログラマーが使うGitのようなバージョン管理システムで追跡すべきだとする論考を公開した。法律の文言・施行日・遡及適用の範囲を一貫して管理できない現状が、法律家だけでなく言語モデルによる法律調査にも深刻な誤りをもたらしていると指摘している。

Lexifinaのブログで公開された本稿(著者:Alan Yahya)は、プログラマーがコードの任意の行について「誰が・いつ・どのように変更したか」を即座に確認できるのに対し、弁護士が連邦法の条文の改正経緯を把握するには脚注を丹念に読む作業が必要だという非対称性を出発点にしている。

具体例として挙げられたのが11 USC §1182(1)、すなわち「小規模事業者債務者」の定義だ。同条項は2019年に創設され、2020年3月のCARES ActでSubchapter Vの適用上限が750万ドルに引き上げられた。この措置は時限的なもので、2022年3月に失効。同年6月に議会が同上限を2年間復活させたが、2020年3月27日以降に開始された継続中の案件に遡及適用される複雑な構造を持つ。その後2024年6月に再び失効し、2025年4月の三年ごとの調整で現在は3,424,000ドルとなっている。2022年5月に申し立てられた案件の上限額を正確に特定するには、当時印刷されたリリースポイントだけでは不十分で、後続の法律まで参照しなければならない。

この問題は言語モデルの時代に一層深刻になっている。ミュンヘン工科大学の2026年の研究によると、モデルはトレーニングカットオフ後に改正された法律について、古い規定が適用される事案でも新しい規定を優先するという誤りを犯す。同研究では、モデル単独では事後改正に関する設問に24%しか正答できなかったが、関連する法文テキストを検索して提供すると87%まで正答率が上がった。研究者らは「時間的有効性を厳格な制約として扱う必要がある」と結論付けている。

別の研究では、モデルに改正前の旧条文を生成させる方法も試されたが、出力は公式テキストと93〜99%の類似度を示しながらも、半数のケースで実質的な誤りが含まれていた。Law Revision CounselはUS Codeをリリースポイント単位で公開しているものの、各変更の施行日や遡及範囲は散文形式の注記に埋め込まれており、機械可読な形式ではない。

出典

lexifina.com — 元記事を読む →