クラウド向け新OS「FTL」公開
原題: FTL: A new operating system for clouds
なぜ重要か
VMレベルの分離性をコンテナの軽量さで実現しようとするアプローチは、クラウドセキュリティとパフォーマンスのトレードオフを変える可能性がある。
新しいクラウド向けオペレーティングシステム「FTL」が公開された。FTLはOSをライブラリとして実装するUserspace OS設計を採用し、既存のモノリシックカーネルよりも高いコンテナ分離性を実現する。Linux バイナリとの互換性を持ち、2026年9月にv0.0.1、同年10月にv0.1.0をリリースしている。
FTLは「クラウド向けの新しいOS」を標榜するプロジェクトで、マイクロカーネルとモノリシックカーネルの利点を組み合わせることを目指している。最大の特徴はUserspace OS設計だ。従来のLinuxでは、OSのコア機能はカーネル空間で動作するが、FTLでは各コンテナが独自のUserspace OSを共有ライブラリとして実行する。このライブラリがLinuxのプロセス管理、VFS(仮想ファイルシステム)、TCP/IPといったOS概念の大半を実装する。
FTLカーネル自体は最小限のインターフェースのみを提供し、ハードウェアベースの軽量な分離(ユーザーモード)を使ってハイパーバイザーに近い分離性を実現する。ベアメタルマシンは不要で、Linux バイナリとの互換性も備える。公式サイト自体がRust製HTTPサーバーをFTL上で動かして提供されている点が象徴的だ。
Userspace OS設計の実用的なメリットとして、OSの機能拡張がカーネルやeBPFプログラミングなしに行える点が挙げられている。デバッグのためのprintf追加、セキュリティアップデートの適用、新機能の追加が通常のアプリケーション開発と同じ感覚で実施できるとしている。
ロードマップは具体的な月次スケジュールが示されており、2026年11月にファイルシステム対応、12月にNode.js・Go対応、2027年1月にSMP・コンテナイメージ・64ビットArm対応を予定している。v0.0.1(2026年9月)とv0.1.0(2026年10月)はすでにリリース済みで、後者ではAsync Rustアプリ向けにLinuxスレッドとepollをサポートしている。