Desert Ant Labs、デバイス上で動作する高速AIモデル群を発表
原題: Desert Ant Labs: local, fast models that run on device
なぜ重要か
クラウド依存を排したオンデバイスAIは、プライバシー規制が厳しい欧州市場での製品開発コスト削減と個人情報保護の両立を可能にする新たな選択肢として注目される。
欧州のAIスタートアップDesert Ant Labsは2026年9月8日、デバイス上で動作する小型・特化型AIモデル群を正式に公開した。初回リリースとして安定版12本とベータ版6本の計18モデルを提供。Swift・Kotlin・JavaScript向けの単一SDKを通じて利用でき、月間アクティブデバイス数10万台までは無料で使用可能。音声・映像・テキストの各タスクに対応する。
Desert Ant Labsは、欧州を拠点とするAIラボで、デバイス上で完結するオンデバイスAIモデルの開発・提供を開始した。同社が公開した18本のモデルは、いずれもクラウドAPIを使わずにデバイス単体で推論を実行できる設計となっており、トークンコストや推論速度の制約なく製品に組み込めることを特徴としている。
主要モデルの性能として、音声書き起こしモデル「Voz」はiPhone上で10分の音声を2秒で文字起こしし、OpenAIのWhisperと比べて4.7倍の速度を実現する。音声品質改善モデル「Clear」はサイズ9MBながら、5分のノートPC録音を1秒でスタジオ品質に変換する。個人情報マスキングモデル「Redact」は27言語に対応し、リアルタイムで氏名・住所・カード番号を検出・削除する。モデルサイズは12MBで、2.3GBのGLiNER-PIIが達成する91.1%に対し88.8%の検出精度を示す。言語識別モデル「Tongue」はわずか3単語から84言語を識別でき、モデルサイズは2MB。精度スコアは0.933で、293MBの既存検出器(0.887)を上回るとしている。
同社の創業背景には、自社の動画アプリ「Detail」の開発経験がある。5年間にわたるオンデバイスファーストの開発過程で、自動編集や音声強化など一部機能でクラウドAPIに依存せざるを得ない状況が続き、ユーザー増加に伴いインフラコストも膨らんでいた。同社はこの課題を解決するため、自前でのモデル学習に踏み切り、Dolbyの音声強化をClearで置き換え、Whisperによる文字起こしをVozで5倍高速化したほか、Claude Sonnetを使っていた動画クリップ生成機能を284MBの自社モデル「Clips」に切り替えた。
すべてのモデルはdesertant.comおよびHugging Faceにて仕様・ベンチマークが公開されており、月間アクティブデバイス数10万台までは無料で利用できる。