ClaudeのAI透かしを数時間で突破か
原題: Coders Say They Already Found Workarounds to Claude’s Invisible Watermarks
なぜ重要か
EU AI法の透かし義務が施行直後に迂回手段が登場したことは、AI生成コンテンツの規制実効性と技術的限界を業界全体に問いかける重要な事例となる。
Anthropicが2026年8月にEU AI法への対応としてClaudeが生成するテキストへ不可視の電子透かしを埋め込むと発表してから約4時間後、開発者Guillaume Meyerが回避コードを公開した。そのコードはGitHub上で2万件超のブックマークを集め、100人以上のコントリビューターが参加。透かし技術の有効性が早くも問われている。
Anthropicは2026年8月、EU AI法の規制遵守を目的として、Claudeが生成するすべてのテキストに不可視かつ機械読み取り可能な電子透かしを世界規模で埋め込む方針を発表した。EU AI法は同月初めに施行されており、AnthropicやOpenAIなどのモデル提供者に対し、AIが生成した音声・画像・動画・テキストを機械が検出できる形式でラベリングするよう義務付けている。違反した場合、年間売上高の最大3%の制裁金が科される。
発表からわずか4時間後、フランス人開発者のGuillaume Meyerは透かしを除去するコードをGitHubで公開した。このコードはX上で2万件超のブックマークを獲得し、100人以上のコントリビューターを集めている。フリーランスのライターやSNSクリエイターからも使い方の問い合わせが相次いでいるという。
Meyerは透かし技術そのものに反対する立場から開発に取り組んだと説明している。彼が懸念するのは、透かし検出による誤検知リスクや、AIを軽度に使用した文書と完全にAIが生成した文書を区別できない点だ。ネイティブフランス語話者である彼は、ClaudeやGrammarlyを文章の校正に利用しており、透かしが証拠として扱われれば採用選考や研究評価で不当な不利益が生じる可能性があると指摘している。AnthropicもClaudeが関与した確率を示すに過ぎないと認めている。
Anthropicが採用した透かし技術はGoogleが2023年から使用している「SynthID」と呼ばれる手法で、人間には識別不可能な語句のパターンをテキストに埋め込む。一部のユーザーはこれがClaudeの回答品質を低下させると懸念しているが、Anthropicは影響はないと主張している。
Meyerの除去ツールは、透かしを付与しない別の大規模言語モデルを活用する方式を採用している。なお、EU AI法は透かし回避ツールの販売・マーケティングをモデル提供者に禁じているが、第三者による独立したツールの開発・公開は法的に制限されていない。
OpenAIも社内で同様の透かし技術を検討したが、顧客離れを招く懸念から導入を見送った経緯がある。