Apple新APIがWhisperを精度・速度で上回る
原題: Apple's new SpeechAnalyzer API, benchmarked against Whisper and its predecessor
なぜ重要か
Appleのオンデバイス音声認識がWhisperを上回ったことで、iOS/macOS向けアプリ開発における音声AIの選定基準が大きく変わる可能性がある。
Inscribeは2026年7月13日、AppleがiOS/macOS 26で導入した新音声認識API「SpeechAnalyzer」を、Whisperおよび旧API「SFSpeechRecognizer」と比較したベンチマーク結果を公開した。LibriSpeechの計5,559発話を使用し、Apple M2 Pro上でオンデバイス動作させた結果、SpeechAnalyzerは単語誤り率2.12%(クリーン音声)を記録し、全エンジン中最高精度を達成した。
オンデバイスAIワークスペース「Inscribe」を開発するInscribeが、Appleの新音声認識API「SpeechAnalyzer」の初となる公開ベンチマークを実施した。Appleは同APIの精度データを一切公表していないため、同社はLibriSpeechの標準テストセット(test-clean 2,620発話、test-other 2,939発話の計5,559発話)を用いて独自に計測を行った。
結果は以下の通り(WER=単語誤り率、低いほど良好)。SpeechAnalyzerはclean音声で2.12%、noisy音声で4.56%を記録。次点のWhisper Small(WhisperKit CoreML、約460MB)はそれぞれ3.74%・7.95%、Whisper Baseが5.42%・12.51%、Whisper Tinyが7.88%・17.04%、旧APIのSFSpeechRecognizerが9.02%・16.25%という順だった。
旧APIからの移行について、同社は「SFSpeechRecognizerと比較して誤り率が3.5〜4倍改善されており、移行しない理由はない」と結論付けた。1時間の会議音声で換算すると、旧APIは新APIに対して約4倍の誤った単語を含む計算になる。さらに新APIは句読点や大文字・小文字も正しく出力する点でも優れているとした。
速度面では、SpeechAnalyzerはWhisper Smallの約3倍速く処理でき、5エンジンすべてが実時間の12〜40倍速(M2 Pro上で1時間の音声を約1.5〜5分で処理)で動作することも確認された。
Whisperの優位性として残るのは、対応言語の幅広さ(SpeechTranscribersは約30ロケールに対しWhisperは多言語対応)と、Apple以外のプラットフォームでも動作する点だ。Inscribeは今回の結果を受け、自社製品の「Auto」エンジンをSpeechAnalyzer対応言語ではSpeechAnalyzerを優先し、それ以外はWhisperを使用する仕様に変更したことも明らかにした。全発話のトランスクリプトも公開されている。