Anthropic、実験生物学ラボを運営
原題: Anthropic is operating a lab that conducts biology experiments
なぜ重要か
AI企業が物理的な生命科学実験を内製化する流れが加速しており、AIとバイオの融合が研究開発の競争軸になりつつあることを示す象徴的な事例だ。
Anthropicがカリフォルニア州ベイエリアにウェット生物学ラボを開設・運営していることが、TechCrunchへの確認で明らかになった。同社ライフサイエンス責任者のEric Kauderer-Abramsは「生物学の最終的な検証は実験室での実作業にある」と述べ、外部パートナーとも連携しながら研究を進めていることを明らかにした。主な焦点は基礎生物学であり、創薬ではないとしている。
Anthropicがベイエリアでウェット生物学ラボを実際に運営していることが確認された。同社のライフサイエンス責任者であるEric Kauderer-AbramsはReutersに対し、「生物学を実践するうえで最終的な検証は依然としてリアルな実験室作業にある」と述べ、「我々はまさに今日それを行っている」と語った。ラボは一般的なバイオテック企業と同様の形式で運営され、社内研究と外部パートナーとの連携を組み合わせているという。
この動きはある程度予見できた。Anthropicは2026年4月にステルスAIバイオテック企業のCoefficient Bioを買収していた。今回、ラボの具体的な研究内容は明かされなかったものの、焦点は「創薬ではなく基礎生物学」だとAnthropicは強調した。製薬業界はAnthropicの主要顧客・パートナーが多く、たとえばNovo Nordiskとの共同創薬契約を直近で発表したばかりだ。競合と受け取られかねない製品展開で過去に反発を招いた経緯もあり、業界との摩擦を避ける意図が透けて見える。
Anthropicはこれと並行して「Life Sciences Verification Program」も立ち上げ、審査済みのバイオ研究者に同社の最強モデルへのアクセスを提供する方針を示した。タンパク質設計の加速や生体分子モデリングの高度化に関するレポートも公開している。
一方で、同社の元研究者Jacob Coxonが「AIを構築している人々は、AIが10年以内に人類を滅ぼし得ると本気で信じている」と警告しながら辞職したことは記憶に新しい。Anthropicのアライメント責任者もAIによる人類絶滅の確率を「10%超」と見積もっており、CEO Dario Amodeiは先週末、業界に自主規制を呼びかける投稿を公開した。彼はバイオテロをAIの最大リスクの一つとして繰り返し言及している。
こうした警告とウェットラボ開設の矛盾は業界でもすでに話題になっており、投資家のChamath Palihapitiyaは「"全員死ぬ"と"今すぐ規制を"というヒット作を出したグループがSFにウェットラボを作っている。お勧めしない」とXに半ば皮肉めかして投稿した。