AIコーディングでCIがボトルネックに、Linearが改善策を公開
原題: AI coding has made CI a bottleneck, so we reworked ours to keep up
なぜ重要か
AIエージェントがコード生成を担うようになるとCIが次の律速ステップになる問題は業界共通であり、Linearの事例は具体的な数値と手法を示す実践的な参照点となる。
LinearはAIエージェントによるコード生成の加速でCI(継続的インテグレーション)がボトルネック化した問題に対処。インフラ移行やツールチェーン刷新などを組み合わせた結果、テストスイートが年初比約4倍に増加したにもかかわらず、PRの待ち時間を6分超から5分超に短縮し、テスト1件あたりのランナー時間を約半減させたと2026年9月21日に公表した。
LinearのエンジニアMufeez Amjadが2026年9月21日に公開したブログ記事によると、同社CTOのTuomasが「CIコストが高騰している」という課題を起票したことが今回の取り組みの発端だった。AIコーディングエージェントの普及でコードをシップする速度が指数関数的に上がった一方、PRは依然としてCIを通過しなければならず、インフラコストの増大と開発者・エージェントのフィードバック待ち時間の長期化が顕在化したという。
改善は主に4つのアプローチで実施された。第一に、GitHub ActionsからCPU性能・ストレージ・キャッシュ品質に優れたサードパーティのランナーへ移行し、移行前後2日間の比較でジョブ実行時間が平均34%短縮。TypeScriptコンパイラのtscに限っては52%の削減を達成した。
第二に、ツールチェーンの近代化。ネイティブTypeScriptコンパイラであるtsgoへの切り替えにより、tscチェックの週次中央値が73%削減され、型チェックがボトルネックでなくなった。
第三に、Lintの最適化。一部のカスタムLintルールはTypeScriptの型情報を参照していたため、Lint実行のたびに全型グラフを構築する必要があり、メモリ使用量が多い処理になっていた。ルールを抽象構文木(AST)ベースの静的解析に書き直したことで、型情報への依存を排除。API lintの時間を68%、リポジトリ全体のlint時間を55%削減した。また型情報不要なルール設計はその後のOxlintへの移行をスムーズにした。
第四に、パイプライン全体の構造最適化。変更検知やキャッシュヒット確認などのゲートジョブがクリティカルパス上にあり、8つのAPIテストシャードはこれらが完了するまで開始できない構造になっていた。各ジョブが必要なファイルだけをフェッチするよう改修することで、これらの待機時間も削減した。
テストスイートが1月初旬比でほぼ4倍に増加した状況下で、PRの平均待ち時間を6分超から5分超へ抑制しながらランナー消費時間も半減させた点が今回の成果として強調されている。