途上国エンジニアがRISC-V批判記事に反論

原題: A third world engineer responds to ”RISC-V: They should have known better“

なぜ重要か

RISC-Vの普及議論に途上国・新興国の入手性コストという視点が加わり、アーキテクチャ評価の多角化が求められていることを示す。

トリニダード・トバゴを拠点とする組み込みエンジニアが、Dmitry Grinberg氏による「RISC-V: They Should Have Known Better」への反論をブログに掲載した。著者はARMからRISC-Vへ移行した経験を持ち、批判記事がHacker NewsやLobstersで議論を呼ぶ中、途上国の開発者視点からRISC-Vの意義を訴えている。

組み込みエンジニアのDmitry Grinberg氏がRISC-Vアーキテクチャへの不満を詳述した長文記事を公開し、Hacker Newsのフロントページに掲載されるなど大きな反響を呼んだ。これに対し、トリニダード・トバゴを拠点とするRV Embeddedの著者が反論記事を公開した。

著者は約1年前にSTM32およびARMからRISC-Vへ全スタックを移行しており、CH32V003などRV32E系チップの実使用経験に基づく書籍を約80%執筆中だという。Grinberg氏の指摘するcompressed storeオフセットの不自然さやZicsrが別途指定が必要な点など、アーキテクチャ上の問題点については一部同意している。

一方で著者が最も強調するのは、地理的・経済的格差という視点だ。トリニダード・トバゴではDigikeyやMouserなどからの「送料無料」は適用されず、1ドルのチップを送ってもらうだけで60〜200米ドルの送料がかかる。あるPCBメーカーからはスポンサー候補として接触を受けたものの、配送地域を理由に断られたという。

この状況は著者が教えたいナイジェリア、バングラデシュなどの学生も同様だと指摘する。10セントの部品と1ドルの部品の差は「誤差」ではなく、30人の学生全員が個別にチップを持てるか、1枚のデモボードを全員で眺めるしかないかを左右する問題だとする。

著者は、Grinberg氏がRISC-Vの重要な側面を見落としていると主張する。それは、RISC-Vが米国・欧州以外の「残り99%」にとって低コストで入手可能なハードウェアへのアクセスを広げているという点であり、これはアーキテクチャの優劣とは無関係の問題だと述べている。命令セットの洗練度は、ハードウェアが手元に届いてから初めて議論できるものだという立場だ。

出典

rvembedded.com — 元記事を読む →