超臨界CO₂でデータセンターを効率化

原題: A Startup Wants to Power Data Centers With ‘Supercritical’ Carbon Dioxide

なぜ重要か

AI需要でデータセンターの電力消費が急拡大する中、既存インフラの効率を高める後付け技術は、新規電源建設より迅速かつ低コストな選択肢として注目を集めそうだ。

スタートアップのAmerican Supercriticalは2026年9月23日、ステルスモードを解除し800万ドルの資金調達を発表した。同社は、データセンターが依存する非効率なシンプルサイクルガスタービンに「超臨界CO₂」ユニットを後付けすることで、追加排出ゼロのまま発電量を増やす技術を開発。排熱を活用して電力を追加生成する仕組みで、水使用量の削減も見込む。

American Supercriticalは、データセンター向けガスタービンの効率問題に着目したスタートアップだ。共同創業者のSimon Shuham氏によると、同社の目標は「まずガスタービンから始め、最終的にはさらに広範なエネルギー源へ展開すること」だという。

米国の多くの大型ガス発電所は、燃焼タービンと蒸気エンジンを組み合わせた「コンバインドサイクル」方式を採用し、エネルギー変換効率は60〜65%に達する。しかしデータセンターの多くは設置スペースや導入コストの都合から、蒸気エンジンを持たない「シンプルサイクル」タービンを選択している。この方式では発生エネルギーの約35%しか電力に変換されず、残りは排熱として大気中に捨てられる。

問題の大きさは具体的な数字でも明らかだ。AmazonがTexasに建設中の大規模データセンター向け発電所は、シンプルサイクルタービンのみで構成されており、年間3,300万トン超の温室効果ガス排出が許可されている。これは一部の小国の年間排出量を上回る規模だ。

American Supercriticalの解決策は「超臨界CO₂」にある。CO₂は特定の温度と圧力条件下で超臨界状態になると、液体並みの密度を保ちながらガスのように振る舞う。この性質を利用すると、ガスタービンの排熱を水の代わりにCO₂へ直接転移させ、追加の燃料や排出を伴わずに発電できる。同社はこれを「小型コンバインドサイクルプラント」と表現している。

CO₂はクローズドループシステムで循環するため補充不要であり、発電プロセスでの水使用量を大幅に削減できる点も注目される。データセンターの水消費問題が各地で批判を受けている状況下では、この副次的メリットも重要だ。同社は800万ドルの資金調達を完了しており、まずはガスタービンへの後付けユニット実用化を目指す。

出典

wired.com — 元記事を読む →