ショウジョウバエの脳神経回路でmacOS上を歩き回る3Dハエアプリ
原題: A 3D fruit fly on macOS desktop powered by the real FlyWire connectome
なぜ重要か
実際の生物神経回路データをリアルタイムシミュレーションに応用した事例として、コネクトームと計算神経科学の融合可能性を示す点で注目される。
開発者DenisSergeevitchが、実際のショウジョウバエの神経接続データベース「FlyWire」の神経回路をもとに、macOSデスクトップ上で3Dのハエが動き回るオープンソースアプリ「DesktopFly」をGitHubで公開した。668個の実ニューロンと約1万9,000個のシナプス結合を1kHzのLeaky-Integrate-and-Fire(LIF)シミュレーションで動作させる。
「DesktopFly」は、macOSのデスクトップ画面上で3Dのショウジョウバエが歩き回り、グルーミング(毛繕い)、睡眠、カーソルからの逃避などの行動を行うアプリケーションだ。これらの行動は、実際のショウジョウバエが使用するニューロン回路をそのままシミュレートすることで実現されている。
神経データとしてはFlyWire v783データセットが使用されており、13万9,255個のニューロンのうち2万3,210個のソーマ(細胞体)位置情報を脳ウィンドウに3D描画する。ニューロンはFlyWireのセル種別ごとに色分けされ、スパイク(神経発火)がリアルタイムで可視化される。黄色に光る2つのマーカーは「Giant Fiber」と呼ばれる逃避指令ニューロンを示しており、ユーザーが脳の各領域をクリックすることで任意の刺激を与えることも可能だ。
実際に動作するのは668ニューロンで構成された回路で、視覚系のLC4(104個)・LPLC2(210個)といったlooming検出ニューロン、逃避指令を出すGiant Fiber(2個)、方向転換を担うDNa01・DNa02(4個)、前進歩行のDNp09(2個)、グルーミングのDNg11(6個)、後退歩行のMDN(4個)などが含まれる。約1万9,000個のシナプス結合は、神経伝達物質の予測により符号(興奮性・抑制性)が付与されている。
本アプリはSwiftで実装されたmacOS向けネイティブアプリとしてGitHubで公開されており、スター数は253を超えている。